旅を愛した父が残した、
片泊まりの宿
“ 毎日毎日ただ歩き続け、その土地の風や空気を感じ、多くの人たちに出会った。
言葉の行き違いや思いもよらない慣習、理不尽な思いをすることもあったけれど、数えきれないくらいの暖かさに触れた。
世界を旅し、その地で出会った人たちとゆるりと酒を酌み交わす時間が、わたしの最も好ましいひとときであった。”
世界中をバックパックで周り、二度の日本一周を果たした、まさに人生を懸けて旅を愛した父が、晩年に京都で出会った最高の日本建築が、このせいしん庵です。
「一見さんお断り」の料理旅館として贅沢に作られたこの数寄屋造りに父は惚れ込み、しかしそこを「一見さんお断り」にはしませんでした。かつて自分が旅をしたときに経験した出会い、触れた暖かさを、今度は自分が京都を旅する人に与えたい。
一見さんにこそ訪れてほしい。そう言って父は高級旅館を、誰でも心安く泊まることができる「片泊まりの宿」にしました。
父は亡くなり、時代はめまぐるしく移って行きますが、変わることのない旅の楽しみや人の暖かさに触れることのできる場所として、このせいしん庵を守りたいと思っています。
一期一会のご縁を大切に、みなさまのお越しを、心よりお待ちしております。